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事業実績

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平成21年度特定疾患医療従事者研修会 講義要約

保健師研修および難病相談・支援センター職員研修で行われた講義の要約です。

合同研修=合同研修 保健師対象=保健師研修 相談支援センター対象=難病相談・支援センター職員研修

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合同研修

合同厚生労働省における難病対策事業について
厚生労働省健康局疾病対策課   中田 勝己

 我が国の難病対策の5本柱である①調査研究の推進②医療施設の整備③医療費の自己負担の解消④地域における保健医療福祉の充実・連携⑤QOLの向上を目指した福祉施策の推進への取り組みについて概説した。
(1)難治性疾患克服研究事業は昭和47年度に発足し、現在では対象疾患も130疾患となった。予算も平成21年度では前年度比4倍の100億円となり研究奨励分野の創設など研究の推進を図っている。
(2)特定疾患治療研究事業は昭和47年度に発足し、自己負担分を公費で負担するものであり、その後種々の制度改正を経ている。本年5月には、医療保険の高額療養費が所得区分や該当回数に応じた自己負担限度額に改定された。対象疾患は平成21年10月現在56疾患となっている。
(3)平成9年からは難病情報センターによる各種情報の収集、提供を行い、また平成10年度からは難治性疾患克服研究事業の対象疾患患者等に対し総合的な相談・支援を行うための難病相談支援センターの設置や受入病院確保対策などを推進している。

合同小児慢性疾患対策について
厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課   松本 晴樹

 小児慢性疾患のうち、 小児がんなど特定の疾患については、その治療が長期間にわたり、 医療費の負担も高額となることから その治療の確立と普及を図り、併せて 患者家庭の医療費の負担軽減にも資するため、医療費の自己負担分の一部を補助するとともに、その他福祉サービスを行っている。児童福祉法に基づく法律補助事業で、原則18歳未満を対象にしており、11疾患群514疾患の患者のうち、厚生労働大臣が定める疾患ごとの基準を満たす者に対して給付を行っている。事業の実施主体は、都道府県・指定都市・中核市であり、費用負担割合は国が2分の1、実施主体が2分の1となっている。福祉サービスとしては日常生活用具給付事業などを実施している。
 また、実施要綱に定める重症認定の基準を満たす場合及び血友病の場合は医療費の自己負担分については、全額が給付の対象となる。

合同介護保険制度について
厚生労働省老健局老人保健課   稲葉 静代

介護保険制度については、要介護状態となった者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことが出来るようにするために必要なサービスを提供できるように策定された。
通常、介護保険サービスの適応は65歳以上の第1号被保険者であるが、40歳以上65歳未満の第2号被保険者については、心身の障害が、がん末期、初老期認知症や脳血管疾患等の老化に起因する一定の疾病(特定疾病)が原因で、介護が必要と認められた場合において、介護保険サービスが適応される。この特定疾病のいくつかは、難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野の対象疾患であることから、患者とその家族を支えるため、難病対策と介護保険制度を適切に活用することが望まれる。  高齢者の増加に伴い、認知症及び住まいの問題等、介護保険制度を取り巻く課題は多岐にわたるが、制度を持続可能なものにしていくために、これらの課題に適切に対応していく必要がある。

合同難病患者の現状と課題について
厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会委員   伊藤 たてお

・日本難病・疾病団体協議会(JPA 63団体 30万人)の成立の背景と歴史を簡単に紹介する。機関誌「JPAの仲間」と紹介パンフレット、「自治体の難病対策と地域難病連の概要 09年版」を配布
・JPA以外の全国組織なども紹介
・患者団体の社会的役割として「患者会の三つの役割」を紹介
 ①病気を正しく知ろう
   疾病の科学的把握 セルフマネジメント セルフヘルプグループ作り など
 ②病気に負けないように
   病気と闘う気概 励ましあい ピアサポート など
 ③本当の福祉社会を作ろう
   ソーシャルアクション 病気であっても生きていくことの出来る社会作りへの参加 など
・「新たな特定疾患・難病対策を提言する」
JPAでは拡大を求められつつも行き詰まりの様相を示している現行の難病対策と小児慢性特定疾患対策の実績と課題を示し、より根本的な解決が迫られているとして、あえて患者団体の立場からの提言を行なっていることを紹介(資料配布)
・「ピアサポート」をどのように捉えるか、について09年10月盛岡市で開催された第12回全国難病センター研究大会での埼玉県立大学社会福祉学科 高畑 隆教授の論文を紹介(資料配布のみ)

保健師研修

保健師対象介護保険施策における訪問看護の現状の課題と
    推進に関わる事業について
厚生労働省老健局老人保健課   八田 睦美

 近年の訪問看護事業所の現状は、事業所数、利用者数ともに数年横ばいの状況にある。その理由として、訪問看護事業所は、職員数3〜5名程度の小規模な事業所が多く、また訪問以外の事務業務等に要する時間が多く効率的なサービス提供できていないことがある。そこで、本年度より、訪問看護支援事業を実施し、訪問看護事業所の安定的・効率的運営ができるよう支援している。
 また、難病やがん末期など重度の方々が利用できる通所サービスとして、平成18年度より療養通所介護が創設されたが、現在の事業所数は全国で70ヵ所弱である。療養通所介護事業所は訪問看護ステーションに併設し経営されているものがほとんどであり、訪問看護事業所の経営や運営の安定がなければ療養通所介護の設置の促進にもつながらない。
 高齢化の進展や入院期間の短縮により、在宅療養者は増加しており、在宅医療の中心的役割を担う訪問看護の果たす役割は大きく、今後とも推進を図ることが重要である。

保健師対象在宅療養を支える看護サービスの現状と課題
全国訪問看護事業協会   上野 桂子

 訪問看護制度は平成4年に制度化され当初は老人のみが対象であったが、平成6年の健康保険法の改正で対象年令も疾患も制限がなくなり、訪問看護が必要なあらゆる在宅療養者にサービスを提供できるようになった。現在の訪問看護ステーション数は21年4月時点で5957か所となっているが、介護保険創設以後開設数は微増で利用者数も要介護認定者400万人強に対し、訪問看護利用者数は27万人と利用率も低い。
 訪問看護ステーションの現状をまとめると、訪問看護は介護保険費用額の2%(1270億円/年)、国民医療費の0.12%(390億円)とシェアが小さい。利用者数28万人程度、1事業所あたり看護職員数平均4.2人、1事業所あたり利用者数訪問看護51.9人、介護予防訪問看護3.0人、常勤換算看護職員1人あたり延利用者数平均69.1人、1件当たりの所要時間平均123分、8割弱のステーションが24時間対応を行っているが職員の負担感が大きい。以上のことから訪問看護に関する諸課題が明確になり、それに取り組むべく訪問看護推進連携会議(日本看護協会、全国訪問看護事業協会、訪問看護振興財団)を立ち上げ、訪問看護10カ年戦略を掲げ活動している。いづれにしても在宅療養者を地域で支えていくためには他職種との共同が要であることを念頭に置く必要がある。

保健師対象神奈川県における訪問看護施策
神奈川県保健福祉部地域保健福祉課   柴田 則子

 神奈川県の訪問看護は、昭和60年度から開始され、保健所保健師が積極的に関わってきた。
訪問看護が制度化され、介護保険制度ではケアマネージャーが中心となってサービス調整が実施されるようになり、保健師の難病患者支援が減少する傾向もみられるようになった。
 しかし、神奈川県では、難病患者支援の広域的・専門的役割を担うこととして、レスパイトを地域で支えるネットワークづくり、訪問看護師の資質向上、訪問看護に関する実態調査、長時間訪問看護モデル事業など、訪問看護ステーション協議会等関係団体と協働して、先駆的な訪問看護事業を行っている。
  こういった取組みの基礎となっているのが県保健福祉事務所(保健所)保健師の活動で、個々の難病患者支援や地域活動を通じて地域の課題を明確にして、新たな行政施策に繋げていく重要な役割を果たしている。

保健師対象重症神経難病患者のケア
東京都立神経病院地域療養支援室   高橋 香織

 神経難病療養者を支援するにあたっては、現在の症状だけをみるのではなく、今後どのような状態や症状が起りうるかを予測し、病状の変化を把握するためのポイントを押えた上で支援をしていくことが大切です。また医療依存度が高い場合が多く、家族への影響も大きいため、療養者だけでなく家族全体支援し、地域関係機関の状況等を把握している保健師による支援が重要です。特に、新しく医療処置が導入された際には、入院中から療養環境の再調整を行う必要があります。具体的には、家族への技術指導の状況確認、衛生材料や医療機器の準備、自宅の療養環境の整備、各種制度申請、在宅療養支援体制の調整等です。
 またヘルパーにたん吸引を依頼する療養者の方も増えてきていますが、十分な医療ケア体制の確保や緊急時体制等の条件を整備した上で、導入を検討する必要があります。

保健師対象東京都西多摩保健所における神経難病患者への療養支援の実際
東京都西多摩保健所   奥山 典子

 西多摩保健所は、東京都の最西端にあり、4市3町1村を管轄しています。山岳地帯が大半を占める山村過疎地域と人口が集中している市街地に特色が二分する地域です。医療、福祉資源では、救急医療や高度専門医療を担う機関が少なく、精神科、療養型の病床を持つ病院と高齢者施設が多いのが特徴です。
 西多摩保健所では、医療依存度の高い難病患者の在宅療養を支えるために、地域難病医療のネットワーク構築に務めてきました。保健師の地区活動のなかから、協力病院の開拓に努めた一方、協力病院と在宅を支援する関係機関が連携を図れるよう、連絡会を設けました。当初は、難病医療協力病院の連絡会として開始しましたが、介護保険や障害者福祉関係機関、訪問看護ステーション、主要専門医療機関など年々参加者を拡大し、意見交換の場となっています。西多摩地域では、既存の福祉制度で対応が困難だった時期のレスパイトケアは充実しつつありますが、人工呼吸器装着者の安定期の受入れ先が少ないことなどが課題として残されています。

保健師対象中核保健所における難病保健活動の実践報告
奈良市保健所   濱田 真弓

 奈良市は奈良県の北部に位置し、人口36万9523人、高齢化率21.2%、特定疾患治療研究事業の受給者数は2,075人(うち重症178人)である。平成14年4月、中核市移行に伴い、奈良市保健所を設置し、難病対策事業を実施している。平成19年度より重症難病患者の在宅療養を支援する体制を構築するため、県郡山保健所と合同で難病在宅ケア推進ネットワーク会議を立ち上げた。作業部会として4つのワーキング部会を設置し、課題解決を図っている。(部会1:地域医療と専門医療の連携、部会2:施設・病院の受け入れ体制の整備、部会3:難病相談窓口および専門職の連携体制の整備、部会4:緊急体制の整備)
 難病患者個別支援の充実として、保健所医師や管理職を含めた難病患者支援検討会を年4回実施(地域アセスメントシートを使用)し、支援状況の共有や対応基準の適正化および療育環境の整備を目指している。また、新規難病患者支援検討会を毎月実施し、支援区分に応じた療養計画の検討を行っている。

保健師対象災害要援護者対策と難病患者支援 〜区市町村の立場から〜
練馬区保健所   宮原 恵子

 練馬区は、東京23区の北西部に位置した自治体で、区内人口は70万を超えております。区内の難病患者さんを支援する所管部署は、区保健所の他、6か所の保健相談所と4か所の総合福祉事務所になっております。区内の難病医療費助成認定件数は、21年3月現在、国・東京都単独補助を入れて、4,607件でした。これらの患者さんの医療費助成申請時に保健師は面接を行い、アセスメントを行なっております。初回面接で、必要なサービスが導入されているかを確認することは、その後の支援体制を調整する上で重要です。
  また、練馬区では難病患者さんを災害要援護者登録対象としています。災害時、ライフラインが影響を受けた場合に、医療機器使用者の安否確認が必要となります。災害時の要援護者名簿を各保健相談所が整理するとともに、具体的な支援体制においては、顔が見える形で構築していくことが必要になります。

 

難病相談・支援センター職員研修

相談支援センター対象特定疾患患者の自立・自律を促す支援方法について
独立行政法人国立病院機構宮城病院    今井 尚志

 全国の難病相談・支援センターの実情を把握するために実施したアンケート結果と研究班として、難病相談・支援センター相談員に対して行っている支援方法について概説した。アンケートから、相談員への支援として専門家のアドバイス・資料や相談マニュアル・難病に関する研究会開催などのニーズが明らかとなった。そのニーズに対応するため、研究班として項目毎にワーキンググループを作成し、支援方法やツールの開発を行っている。研究班ホームページ上に難病相談・支援センターのネットワークを構築し、相談員が気軽に専門家に相談できる窓口を作成するとともに、平成15年度から実施している研究会の内容をホームページ上に公開した。マニュアルとして、よくある質問に対するモデル回答集や難病患者への就業支援パンフレットの内容を一部紹介した。全国のセンターの相談内容の検討や実績の事務処理を簡便にするためのツールとして電子相談票を作成した。

相談支援センター対象膠原病の患者・家族を支援するにあたって
順天堂大学名誉教授   橋本 博史

 膠原病にはいくつかの疾患が含まれ、その多くは難病に指定されている。膠原病患者の多くは医療のみならず社会生活、職業生活、日常生活などにおいて多くの問題を抱えている。膠原病患者家族生活実態調査(2006)をもとにその現況について述べ、患者と家族がどのような支援を求めているのか概説した。
 膠原病の多くは女性に好発し多臓器障害を伴う全身性疾患であるが、その病状は他人から理解されにくい。生命予後は改善したが、高齢化に伴い膠原病のみならず加齢による疾患も併せ治療を必要とする患者の増加がみられる。地域医療機関への受診者の増加がみられ、難病相談支援センターによる情報提供の増加が期待される。難病は障害者枠に入らず就労支援も重要と思われる。家族以外の生活上の支援では、行政や民間サービスが増加傾向にある。将来の不安では、病気以外に老後や一人暮らしになった時の不安感が強く、家族と周囲の理解、医療福祉の充実が望まれる。

相談支援センター対象福岡県重症神経難病ネットワークの概要と10年間の体制整備
〜拠点病院の立場から〜
九州大学病院神経内科    立石 貴久

 ALS等の重症難病患者のための身近な入院施設の確保を図る目的で重症難病患者入院施設確保事業が開始された。これを受け福岡県では平成10年12月3日に福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業(福岡県重症神経難病ネットワーク)を設立し、10年間に渡って活動している。
 九州大学病院は本ネットワークの拠点病院として神経難病患者の診療、医療機関などへの医学的指導や助言、本ネットワーク全体の統括・調整を行っている。本研修会では1.当院へ新規受診したALS患者の変動や難病医療専門員の関わり、2.当院の本ネットワーク事業への関わり、3. 本ネットワーク協力病院の変化、4. 難病相談支援センターとの関わりについて解説した。
 また、重症難病患者の地域医療体制の構築に関する研究班(糸山班)の難病相談ガイドブック作成プロジェクトでの調査を通じて明らかとなった、全国の難病医療専門員の現状と問題についても解説した。

相談支援センター対象難病療養者をめぐる相談の対応
〜福岡県重症神経難病ネットワークの活動を通して〜
福岡県難病医療連絡協議会   岩木 三保

 福岡県では全国に先駆けて、平成10年12月3日に、専任の難病医療専門員を配置した福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業(福岡県重症神経難病ネットワーク)を設立した。本ネットワークは、福岡県の委託を受けた福岡県難病医療連絡協議会が事業主体となっている。地域の医療機関や専門的医療機関との連携を推進することにより、神経難病患者の療養環境の整備を図るという目的で活動を行い、11年度目を迎えた。① 入転院施設の紹介、② 療養相談、③ 難病医療に関する情報提供、④ 医療従事者研修会、⑤ 療養環境調査・研究を実施している。
 現時点では、診断、在宅療養中の短期入院、緊急対応、長期入院療養などすべての療養経過を支援できる病院はほとんどない。介護者が介護してゆく力を支えるため、レスパイト体制の一層の啓発が必要である。今後は、情報提供・発信源としての役割をより強化していきたい。
        (ホームページ http://www.med.kyushu-u.ac.jp/nanbyou/nanbyou-net.htm

相談支援センター対象私共が重症難病患者さんに出来ること
〜特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を例に〜
東北大学病院神経内科    糸山 泰人

 ALSは神経難病の象徴的な疾患と言われるほど過酷な疾患である。原因不明で全身の筋肉が進行性に萎縮して最終的には呼吸も出来なくなり、その進行を止める薬剤はない。この難病患者さんに対し私共ができることは、ひとつに患者さんへの医療の提供体制を整備することであり、また人工呼吸器を装着した患者さんなどへの在宅医療を支援することである。これに関しては、現在厚生労働省の研究班において全国的な難病医療体制の整備が検討されている。もうひとつはALSの病因解明であり、私共の研究からもALSの原因遺伝子のスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD1)が発見され、その遺伝子を導入して動物モデルを完成した。なかでもマウスに比べて大型のラットのALSモデルは世界に先駆けて作製したもので、その大きさから脊髄腔から薬剤を注入することが可能になった。患者さんが最も切望していることは新規治療薬の開発であり、私共は大阪大学や慶應大学との共同研究にて肝細胞増殖因子(HGF)がALSラットに有効であることを証明し、すでにヒトへ使用可能なHGF製剤が作られている。現在ALS患者さんへの治験に至る最終段階である霊長類に対する安全性の試験を行なっている。

相談支援センター対象難病相談支援センターにおける相談員の情報収集の方法について
   笠井 秀子

 難病相談・支援センターの事業が発足し、早や7年目を迎え、難病相談・支援センターは、難病患者さん・ご家族にとって、非常に身近な相談機関として位置づいてきたと感じております。昨今、難病相談・支援センターは、相談機能の充実はもちろんですが、さらに情報センターとしての機能が求められています。情報支援には、①必要な情報をタイムリーに提供すること、②相談者の情報の混乱に対し、共に情報の整理をすること、③適切な相談窓口につなぎ、決してたらいまわしにしないこと、が必要だと思います。みなさんは、相談対応に必要な情報をどのように得て整理していますか?以下の項目から情報を整理しておくとよいかと思っております。
 1 各疾患に関する情報のとりかたと活かし方
 2 疫学に関する情報(それぞれの地域の特性を知り、支援に活かす)
 3 研究の成果に関する情報、最新の医学情報、治験などの情報
 4 地域の医療機関情報(専門医療機関リスト(病院・診療所)、遺伝相談など専門外来リスト)
 5 難病医療拠点・協力病院情報とそれぞれの役割
 6 難病相談支援ドクターの情報とその役割
 7 地域における各種相談窓口(保健・医療・福祉)リストとそれぞれの役割
 8 ピア相談リストと患者会情報
 9 難病支援に必要な関連制度(国、都道府県、市町村など)
 10 就労支援に関する情報、関係機関リスト
 11 講演会、地域交流会など自主活動支援に必要な情報
 12 必要な書籍など、その他の情報

相談支援センター対象就労対策について
厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室  吉澤 純

 難病のある方には、障害者手帳を所持されている方と所持されていない方がおられ、障害者手帳を所持している方は雇用率制度をはじめとする各種の障害者雇用制度の活用が可能である。
 一方、障害者手帳を所持していない方についても、「長期にわたり職業生活上相当の制限、困難を伴う」場合は、障害者雇用促進法上の障害者として、ハローワーク等における各種の職業リハビリテーション措置の対象として、状況に応じた利用が可能である。
 また、今年度、障害者手帳を所持していない難病(難治性疾患克服研究事業のうち臨床調査研究分野の対象疾患及び進行性筋萎縮症)のある方を対象とした「難治性疾患患者雇用開発助成金」を新たに創設した。この難治性疾患患者雇用開発助成金の創設により、障害者手帳を所持していない難病のある方をハローワークの職業紹介で新規に常用労働者として雇い入れる事業主に対して、賃金の一部に相当する額を助成金として支給することが可能となった。要件等があるので、ハローワークに御相談・調整の上、有効活用いただきたい。

相談支援センター対象難病のある人の職業生活の支援について
高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター   春名 由一郎

 難病のある人の職業生活上の課題には、疾患管理と職業生活を両立するための方法が分からず就労への自信を失ったり将来展望が困難になったり等の「職業準備期」の課題、「就職活動期」に病気や障害のことを誤解されないように伝えたり、自分のアピール点を伝えたりするスキルの課題、就職後のストレス対処や処遇の課題を含む「職場適応・就業継続期」の課題等がある。また、難病のある人を雇用する企業の安全配慮上の不安に対応する必要も大きい。そのような課題への対応のための医療専門職とハローワーク等の就労専門職が連携においては、医療的観点として「どのような条件(仕事内容、職場、勤務条件等)なら、自己管理もでき無理なく働けるか」、職探しの観点として「本人の希望や適性に合った仕事や職場を地域の中でどのように見出していくか」の両面を総合し、個別的な職探しや、必要な配慮の企業への説明、就職後の予防的な支援の取組が重要である。

相談支援センター対象岡山県難病相談・支援センターにおける就労支援の実際
岡山県難病相談・支援センター    大村 圭司

 岡山県難病相談・支援センターは、平成16年10月、(財)岡山県健康づくり財団が岡山県から受託し、その地に開設されました。
 就労支援事業は、全国に先駆けて、平成19年4月に立ち挙げられました。就労相談支援の手順・ポイントは以下の通りです。
 1.当センターで直接面談を行いますので、事前に予約を取って頂きます。2.来所当日は、履歴書を持参して頂きます。3.面談では、当センター独自の「就労支援相談票」を使って、ご本人の就労に対する意識、「自己分析」(どういう仕事が、どれだけできるか、正社員か嘱託かパートか、保険は、通勤は、働く上での制限は、病気の告知は?など)を明らかにしていきます。合わせて、求職する際の「目標設定」(いつまでに、どこで、どんな仕事につくか、労働時間・雇用形態・給与・保険等はどうするのか)に深く関わっていきます。4.必要に応じて、その後も継続して相談支援を行っていきます。5.面談後、3ヶ月後を目安に現況確認を実施しています。

相談支援センター対象相談・援助の方法 〜患者、家族とより良い関係を築くために〜
杏林大学医学部附属病院医療福祉相談室   加藤 雅江

 今回の講義では、患者・家族の思いを知り、より良い関係を築き、効果的な支援を展開するために不可欠な面接技術とは何かを考えてみた。まず面接や支援をスタートさせるときに必要なのは、相手の立ち位置をつかむこと、相手の求めていることは何かを知ることである。この時、相手の話す事柄に集中するのではなく、感情に焦点を当て、関係構築を目的に面接が進められると良い。対象者が病気を抱えた患者、その家族であっても、病気や療養といったことにばかり焦点を合わせすぎず、患者、家族の生活全般を視野に入れた支援を行いたい。病気を抱えた人、である前に、それぞれに、その人なりの役割を持ち、地域で生活する人として対象者を見る視点が大切である。支援を進めていく上で私たちに必要なことは、支援者として出来ることは限界があるということ、支援者として自分の果たすべき役割を知ることである。あくまでも対象者が自分の不安や悩みを自分で感じ、解決できるよう働きかけることが私たち支援者の果たすべき役割であると思う。相手の不安を吸い取って、先回りして解決してしまうことは、対象者自身が力を蓄え、成長する機会を奪ってしまうことに他ならない。必要なときにはいつでも支援の手を差し伸べることが出来るように程よい距離で傍らに居続けられる関係を作っていきたいと思う。
 今回のグループワークでの体験を患者さんとの関係の中に活かしていただけると、うれしいです。