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平成20年度特定疾患医療従事者研修会 講義要約

保健師研修および難病相談・支援センター職員研修で行われた講義の要約です。
合同=合同研修
保健師対象=保健師研修
相談支援センター対象=難病相談・支援センター職員研修

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合同研修

合同厚生労働省における難病対策事業について

  厚生労働省健康局疾病対策課 海老名 英治

 厚生労働省における難病対策は、「難病対策要綱(昭和47年10月)」に基づき、(1)調査研究の推進、(2)医療施設等の整備、(3)医療費の自己負担の軽減、(4)地域における保健医療福祉の充実・連携及び(5)QOLの向上を目指した福祉施策の推進により進められている。
  具体的には、(1)調査研究の推進として、厚生労働科学研究費補助金にて「難治性疾患克服研究事業」を行い、病状の進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、患者の療養生活の質の向上に取り組んでいる。
  また、(2)医療施設等の整備として、「重症難病患者拠点・協力病院設備事業」を行い、重症難病患者に対する入院施設の確保及び受け入れ体制の整備に取り組んでいる。
  さらに、(3)医療費の自己負担の軽減として、「特定疾患治療研究事業」及び「在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業」を行い、医療保険の自己負担部分に対する所得に応じた公費補助に取り組んでいる。
  そして、(4)地域における保健医療福祉の充実・連携として、「難病特別対策推進事業」を通じ、療養上・生活上での悩みや不安等の解消を目指した「難病相談・支援センター事業」や重症難病患者のための身近な入院施設の確保を目指した「重症難病患者入院施設確保事業」等による都道府県での取り組みを支援している。 
  最後に、(5)QOLの向上を目指した福祉施策の推進として、「難病患者等居宅生活支援事業」を通じ、日常生活の便宜を目指した「難病患者等日常生活用具給付事業」や「難病患者等ホームヘルプサービス事業」等による市町村等での取り組みを支援している。 

合同研修介護保険制度について         

  厚生労働省老健局老人保健課 鈴木 健彦

 介護保険制度については、要介護状態となった者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことが出来るようにするために必要なサービスを提供できるように策定された。
サービスを受けるためには、まず、「要介護(要支援)認定」を受け、「居宅サービス」には、ディサービスなどの「通所系サービス」、ヘルパー派遣などの「訪問系サービス」、特別養護老人保健施設への入所などの「施設系サービス」が在り、これらのサービスを組み合わせてケアプランが作成する必要がある。 
 今後、高齢者は益々増えるとともに、認知症の問題や高齢者の住まいの問題、都市部における住居の問題等様々な問題が発生することが想定されることから、介護保険制度も、これらの問題に適切に対応できるようにしていく必要がある。

合同研修グループワーク「難病療養者への支援」

  前東京都難病相談支援センター 笠井 秀子

 難病相談支援センターにおいて、日常的によくある相談内容と思われる2事例について、行政の保健師、難病相談支援センターのスタッフがグループを編成し事例を検討した。事例検討の目的は、(1)具体的な支援のプロセスを学ぶ、(2)課題に対する必要な社会資源を整理することができる。また不足している社会資源は何かを明らかにすることができる。(3)地域の保健・医療・福祉などの関係機関との連携の在り方を学ぶである。事例1は、ALSで発症から2年目、下肢の筋力低下が進行し歩行障害がある。相談の主旨は、「何か新しい治療法がないか」、「病気は進行している。今何か自分ができることはないか」である。事例2は、SLEで発症から7年が経過、専門的治療はうけているものの、病状が不安定のため就労もできなくなった。相談の主旨は@治療方法に関する迷い・不安と主治医の対応に対する不信、A仕事の継続が困難である。事例検討にあたっては、スーパーバイザーの先生が1人づつグループに入り、検討をすすめた。検討結果はグループごとに発表。結果、事例1は医療面の支援として治験情報の提供、主治医との橋渡しの方法、セカンドオピニオンをすすめるなど、自分に何かできることはについては、まずは療養者の病状評価が重要、その上で病状にそった社会資源が利用できるようにコーデネートし、QOLの向上を目指し、ネットワークを構築する(訪問看護師、訪問リハビリの導入、要介護認定を受け、療養環境の整備など介護保険からのサービス導入、身体障害者手帳の取得の検討)ことなどが検討された。事例2は、相談者の話をしっかり聴くことやピアの役割の重要性が指摘された。相談者が納得した医療を受けていくためには専門医療の確保という視点で、受診方法の検討(家族が受診に同行、受診時の医師への伝え方、説明を受ける機会のセッテイングなど)、セカンドオピニオンを受けるなどが検討された。また家族間における病気に対する理解のありかたも療養者に影響しているのではないか?として家族との関係をアセスメントすること。就労については主治医の意見を聞きながら、経済的な課題も含めて対応していくなどが報告された。事例検討の目的の達成度は不明であるが、少なくとも関係機関の協力、連携を図りながら対応していくことの必要性は伝えられたかと思う。一方、相談に対応する側からみた2事例に共通する視点を挙げると、1 専門医療の確保(主治医をいかにまきこみ、協力を得られるか)。1)効果的な受診の方法、2)必要な情報が十分に提供され、治療法の意思表明や療養方針、療養姿勢が自ら確立できるように支援すること。2 早期からの地域の支援体制の構築(特に診断されてからサービスを導入するまでのかかわり、この時期が療養者にとって最も情報が少なく不安定な時期)。3 病気をもちながら、療養生活の自己管理ができるよう支援する(生きる希望、現実を生きることをどうささえるか)ことである。特に3のセルフケア能力を高めていくための役割は、常に意識下におきたい点である。

保健師研修

 

保健師対象難病の保健指導と地域アセスメント 〜地域支援体制の構築と充実に向けて〜

  新潟県十日町保健所 古海 英美子

 当保健所は、十日町市・津南町を管轄し、平成20年4月1日現在 人口71,311人 高齢化率32.2%、山間地であると共に有数の豪雪地帯である。神経内科の常設はなく、1病院に週1日の診療があるのみである。
特定疾患医療の受給者数は平成19年度末現在343人、そのうち神経難病患者は102人で、身体の不自由が現れやすいALS、SCD、PD、MSAでは重症化するほど在宅療養者が少なく長期入院者が多い現状がある。また、日頃の活動やアンケート等からは、難病に限らず医療ニーズの高いケースを地域で受け入れる体制が十分でない実態や課題が明確になった。
このような現状をふまえ、平成19年度から患者ひとりひとりが自分の望む療養生活を思い描き、その中で在宅療養を選択した時に地域での療養が実現できるような支援体制の構築をめざした活動をしている。具体的には「難病患者等在宅療養者支援体制検討会」、「スタッフ研修(神経難病患者地域ケア研修)」、「地域難病連絡協議会」等に取り組み、関係機関の各々の役割検討や連携強化、関係者の資質向上及び医療の連携強化をめざしている。

保健師対象難病の保健活動と地域アセスメント 〜難病事業の概要〜

  京都府丹後保健所 高奥 幸枝

 京都府丹後保健所は京都府の最北端に位置し、人口11万(高齢化率29%)、特定疾患登録は673名、その半数が神経系難病である。近年は人工呼吸器装着等の重症難病患者の在宅療養支援に力を入れている。管内における、重症難病患者の在宅療養上の問題点として、(1)介護保険サービスの利用が制限される (2)往診医師の確保が困難 (3)在宅で緩和ケアを受けることが困難 (4)緊急時の対策が不十分。という点があげられる。そこで(1)については介護保険事業所へアンケート調査と講演会を行い、受入拡大へ働きかけを行っている。又、現在往診をしている医師と専門医との合同訪問や医師会対象の研修会、医師会理事を招いての検討会を開催し(2)(3)について働きかけを行っているところである。更に(4)については今年度は在宅人工呼吸器装着患者5名について「避難の手引き」を作成し、主治医、行政、消防、電力会社、呼吸器業者、訪問看護等と災害時等の緊急時の役割を共有した。

 

難病相談支援センター研修

相談支援センター対象ハローワークと連携した支援

  高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター 春名 由一郎

 難病による機能障害や症状、疾患管理上の条件に応じる一方で、一人ひとりの興味や強みを生かせるような生活・人生の再構築の手段の一つが就労支援である。単に一方的に支援することを超えて、相互依存関係での社会関係づくりの延長に就労支援はある。難病のある人の職業生活と疾患管理の両立には、無理のない仕事と働き方を選び、適切な職場内での理解や配慮を得て、地域で気楽に相談できる場所をもてることがポイントになる。そのために、保健医療機関とハローワーク等の労働機関の「餅は餅屋」の連携が重要である。難病相談・支援センターで就労相談を抱え込まず、一人ひとりの興味や強みに合った仕事の可能性をハローワーク等で本人が考えられるようにする必要がある。その一方で、ハローワーク等に丸投げではなく、本人の仕事の希望について、勤務時間や必要な配慮等の条件、本人の取組を明確にして確実につなぎ、継続的な相談を受けることが必要である。 

 相談支援センター対象難病患者・家族に対する相談・援助の方法について〜患者、家族とより良い関係を築くために〜

  杏林大学医学部付属病院医療福祉相談室 加藤 雅江

 患者・家族の思いを知り、より良い関係を築き、効果的な支援を展開するために不可欠な面接技術とは何かを考えてみた。まず面接や支援をスタートさせるときに必要なのは、相手の立ち位置をつかむこと、相手の求めていることは何かを知ることである。見当違いな支援をしないためにも、アンテナをしっかり張り、情報を受け止めていきたいと考えている。この時、相手の話す事柄に集中するのではなく、感情に焦点を当て、関係構築を目的に面接が進められると良い。対象者が病気を抱えた患者、その家族であっても、病気や療養といったことにばかり焦点を合わせすぎず、患者、家族の生活全般を視野に入れた支援を行いたい。病気を抱えた人、である前に、それぞれに、その人なりの役割を持ち、地域で生活する人として対象者を見る視点が大切である。支援を進めていく上で私たちに必要なことは、支援者として出来ることは限界があるということ、支援者として自分の果たすべき役割を知ることである。あくまでも対象者が自分の不安や悩みを自分で感じ、解決できるよう働きかけることが私たち支援者の果たすべき役割であると思う。相手の不安を吸い取って、先回りして解決してしまうことは、対象者自身が力を蓄え、成長する機会を奪ってしまうことに他ならない。必要なときにはいつでも支援の手を差し伸べることが出来るように程よい距離で傍らに居続けられる関係を作っていきたいと思う。